2016年4月15日金曜日

モヒカン故郷に帰る


キャストとかストーリーとかは何でもよくて、とにかく沖田監督の作品は観る! と頑なに決めている。
『横道世之介』までの監督の作品を観て、僕の中で芽生えた揺るぎない決意なのだけど、前作の『滝を見にいく』を観て、更にその気持ちに拍車がかかった。
沖田監督の映画って、誰も傷付けないし、不快な思いをすることがないし、なんとなく観てて心地良いし、ゆるいユーモアもあって笑える、それでいてちょっとした感動もあるのが魅力だと思う。それでいて一切日和ることがなく、我が道を行く感じがするのがすごい。『横道世之介』みたいな超大作のあとに、『滝を見にいく』みたいな、下手したら誰も観ないかもしれないようなリスキーな作品をひょこっと撮ってしまうスタンス。これはひょっとしたら、つまんないんじゃないか…と不安になりながら観たけど、ちゃんと面白い。絶対的に信頼できる。一生ついて行く!

もう日本一の映画監督は沖田監督だと認めてしまおう。
園子温とか是枝裕和とか岩井俊二とか、すごい作品を撮った監督はいる。
でも、目を背けたくなるような刺激的なシーンがあったり、ちょっと残酷な内容に胸を痛めたりすることもしばしばあり、観る時の体調によっては気が滅入っちゃうし、老若男女全てに受け入れられる作品ではないだろう。
その点、沖田監督の作品はいつだって誰にだって優しい。
そして、今回の『モヒカン故郷に帰る』も漏れなく優しかった。しかも、監督の作品史上一番優しさに溢れていたと言っていいのではないか。

この映画の肝は、親子のやり取りの面白さだけど、僕的にこの映画のクライマックスは、屋上で吹奏楽部が演奏し、柄本明が指揮をするシーンだ。ネタバレになるので、あまり詳しくは言えないけど、後半には柄本明に代わり松田龍平が指揮を執って演奏するシーンがある。
正直、結末は雑な感じがしてしまうのだけど、二つの名シーンがあまりにも素晴らしいので、結末について言及するのは野暮だ。きっと派手な演出をしたかったのだろう。


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