2016年10月11日火曜日

映画『少女』


湊かなえ原作という情報に釣られ、ほいほいっと自転車転がして、府中のTOHOシネマズへ。

言わずもがな湊かなえさんは、ストーリーテラーとして超一流なので、監督がどううまく演出して、エンターテイメントとして楽しませてくれるのかが肝だと思う。
過去に湊かなえ作品を映画化した、中村義洋監督も中島哲也監督も最高に楽しかった。中村監督の白ゆき姫殺人事件は賛否あるみたいだけど、僕は好き。

で、実際に少女を鑑賞してみて、原作は読んでないのだけど、これは原作超えしている、と思わずにはいられないほど素晴らしかった。

小説では手の届かないところへの目配せがとても行き渡っている。それが観ててとても気持ち良かった。
それを言及するのが、ネタバレになりかねないのがもどかしい。
こういう映画って、本当に宣伝が難しそうだ。
だから、内容は話せないけど、本当に面白いのだと口酸っぱく言い続けよう。

これちょっとネタバレかもしれないけど、僕はとにかく疾走するシーンというのがツボなのだ。
アベンジャーズエイジオブウルトロンのクイックシルバーとか、Mr.インクレディブルのダッシュみたいな俊足キャラが大好きなのだけど、その最たるはフォレストガンプだと思ってる。
フォレストガンプでの、疾走しながらギプスが外れるシーンが森羅万象の映画で一番好きなシーンなのだけど、少女のあるシーンでそのシーンがフラッシュバックした。
あのシーンが好きだ。ご飯何杯でも食べられそう。
あのシーンだけもう一回観せてくれ。

あ、でも本田翼の病院の少年と心を通わせていく場面も観ててほほえましくて、穏やかな気持ちになった。
きっと湊さんのユーモアの部分なのだろう。湊さんは緊張と緩和が絶妙。そこがまたいい。
本田翼はしょうもないラブストーリーで観るよりも圧倒的に良かったし、いい女優だと思った。

原作も気になるので読んでみる。


2016年9月10日土曜日

湯を沸かすほどの熱い愛


中野量太監督の作品を全く観たことがなかったので、本谷有希子さん原作で吉田大八監督の『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』みたいな感じかな、と勝手に予想していた。
やたら長いタイトルだし、ちょっと暴力的で奇をてらった感じなんじゃないかと。

そして、その予想はほぼ外れていた。
映画が始まって数十分後には涙腺が決壊して、ただただ涙が止まらなかった。感動しっぱなし。
今まで観た映画で、泣ける映画をあげるとしたら、リトルダンサーとフラガールなのだけど、どちらも印象的な泣けるシーンが一箇所あるだけで、全編通して泣けるというわけじゃない。
どこかで感動的なクライマックスがあって、そこで涙する。基本映画ってそうだと思う。
でも、この映画は違う。
まあ泣かす泣かす。とにかく泣かせる。
今まで観た映画で一番泣いた。圧倒的に泣いた。
そして不思議なのが、観終わったらスッキリすると同時に、泣き過ぎて疲弊するという、かつてない映画体験となった。

あと、やっぱり良い作品に必要なのは、食事のシーンだ。
料理や食事のシーンに重きを置いている作品は信用できる。
近年その傾向が著しいのは沖田修一監督だったり、是枝裕和監督だったりするのだけど、中野監督も上手い。
しかも、そのシーンを伏線とする新しいタイプの見せ方だった。
素晴らしいと思う。

あとは、言わずもがな粒揃いなキャスト達。
宮沢りえとオダギリジョーと松坂桃李しか存じ上げなかったのだけど、誰一人としてミスキャストがなかった。
杉咲花ちゃんと伊東蒼ちゃんはとんでもない逸材じゃないか。今後の展開が楽しみ。
駿河太郎さんもいいな、と思っていたら、鶴瓶の息子なのだった。全然面影がなくて、教えてもらわないと永遠に赤の他人だった。

この映画で苦言を呈するなら、笑えるシーンがほのぼのするだけで、そこまで笑えなかったこと。きっとそこまで笑いは狙ってなくて、ユーモアはちょっとしたスパイス程度だったのだと思っている。きっとそうに違いない。

もっと踏み込んだ感想を書きたいのだけど、上映前だしもう一回観たら、全然印象が変わるかもしれないのでこれくらいにしておく。
ただ、現時点では今年ベスト。


2016年8月27日土曜日

芸人キャノンボール2016 in summer


今年の元日に放送されたのを見て、そのあまりの面白さに、また来年の放送を楽しみに1年間頑張ろうと思った。
それなのに、“in summer”と題し、早くも第2回をやってくれるなんて。嬉しすぎる。

今ダントツで一番面白いテレビ番組だと思ってる。
どこまでガチなのかわからないけど、とにかくドラマが起こる起こる。
絶対演出じゃないか、と疑わずにいられない。
竹山がトイレに行ったタイミングで、ゴールを先越されたり、スパイ疑惑で携帯を没収されている田中が拉致されて連絡とれなくてる流れなんて、話が出来すぎている。
と邪推しがちだけど、そんなすごいドラマを起こすのはスターたる所以なのだろう。

1stステージはにらめっこ対決。
そうそうこれこれ〜、相変わらず安定して面白い。
こんなこと言ってしまうと身も蓋もないけど、勝ち負けよりもとにかく面白くあれ、と思ってるので、おぎやはぎチームが最高だった。
癖のあるおじさんは、超スベってたけどひたすら煽って悪ノリするくだりはずっと見ていたかった。

2ndステージは騎馬戦。
クラミジアフォックス擁するロンブーチームに分があるのは明白だけど、やはり芸人キャノンボールを面白くするのはおぎやはぎチームだ。
女子プロレスラーと繋がりのある日村が連絡を取り、最強の馬一騎のみで勝負する作戦。
相変わらず発想がぶっ飛んでいて最高じゃないか。
しかし、やはり多勢に無勢で、一騎当千は夢物語に終わった。夢を見させてくれてありがとう。

3rdステージはカラオケ対決。
待ってました! 
そして、しっかり前回以上に面白くするための新ルール、選手を街でスカウトしたらポイントが付く、ストリートが追加された。これまた夢がある魅力的なルールだ。
でもって、芸人キャノンボールの準レギュラーの千秋登場。
そして、千秋を介して繰り広げられる、バカリズムと淳の頭脳戦。
だけど、淳は一枚上手というか、千秋は眼中になくて、ツイキャスで歌がうまい素人を探す作戦に。よく思いつくな、すごい。
結局、芸人キャノンボールの中心にいるのは淳な気がする。本当に器用で賢くて、順応性に長けている。素人の扱いも上手だし。
有吉は面白くて好きだけど、素人の中から選手を探したりするのは苦手みたい。
今回の有吉チームには劇団ひとりという頭が切れて、気の知れた側近がいてよかった。あとはチームメイトに小峠よりも、ハライチ澤部とかノブコブ吉村の方が面白くなったのではと思う。
なんて思ったのだけど、カラオケ対決の舞台では有吉が一番面白かった。
たくさん芸人がいても、その存在感はずば抜けている。

ジュニアチームについても言及すると、神聖なるカラオケ対決に水差すな、ということだ。
真剣に勝ちに行くか、真剣に笑わせるか、どちらかにして欲しい。
ちょっと残念だった。
まあジュニアチームは、対決よりも車中が一番面白いチームだ。ざっくりハイタッチを彷彿させるやりとり。次回のジュニアチームのメンバーはフットボールアワーと小藪であれ。

話が少し逸れたけど、結局カラオケ対決は、新ルールのストリートポイントを狙いに行った、おぎやはぎチームとロンブーチームが正解だったと思う。
おぎやはぎは、行き当たりばったりの素人にしてはすごい善戦していて、その引きの強さたるや。やはり持ってるな。

最終ステージは、ホームラン対決。
準レギュラーの千秋が普通に参加していて、いよいよ芸人キャノンボールで幅利かせてきた。スーパーバイザーか。面白いな。
最終ステージなのに、リーダーのジュニアが抜けてしまい、もうグダグダで不憫で見てられなかったけど、勝てなくても諦めず、ベストを尽くして番組を盛り上げようと、ボーナスポイントを稼ぎに行く姿勢はプロだった。
おぎやはぎチームも最後まで番組を面白くする。
引退した選手が再びバッターボックスに立ち、大活躍するなんて、ドラマチックでかっこいい。見たい!
絶対ホームラン打つと思った。
だが、やはりホームランは難しかったみたい。ホームランバッターでもないのに1本打った元木ってすごいな。さすが曲者。

ロンブーチームの二連覇となってしまったけど、惜しいところまで行き、ちょっと期待させてくれるのがおぎやはぎチーム。
おぎやはぎチームはゆるいようで、しっかり勝負しつつ、冒険したり、無茶したりして、ちゃっかり結果を出しているのが本当にすごい。
田中を拉致するのが卑怯だという意見もあるらしいけど、それがルール違反になってしまう、ぬるいキャノンボールなんて見たいか? 僕は見たくない。
ETCカードを抜いたり、拉致したりする、これがキャノンボールだ。